ダイナミクスには、2種類あると思う。
曲全体のダイナミクスと、局所的なダイナミクス。
曲全体のダイナミクスは、イントロ→Aメロ→サビと盛り上がっていく流れ。
局所的なダイナミクスは、小節単位、あるいは小節内での盛り上がり。
局所的なダイナミクスによって小さな波が生み出され、それが全体のダイナミクスと連動して、大きなうねりとなっていく。
個人的には物語の比喩で考えるのが分かりやすい。
曲全体のダイナミクスは、物語で言う起承転結。
「起」のび太がジャイアンにいじめられ、
「承」ドラえもんのひみつ道具が登場してのび太が助かり、
「転」と思いきや調子に乗ったのび太が失敗し、
「結」最後にはドラえもんが事態を収拾してくれる。
ギャグ漫画としてはこれで十分だけど、これではのび太に対する感情移入は生まれない。
藤子F不二雄が「ぼくは小さい頃はのび太だった」と語るように、物語の細部に宿るのび太らしさも見逃せない。
局所的なダイナミクスとは、 物語の細部、例えば感情の機微を表現することに対応するだろうと思う。
いじめられるという「起」でも、のび太の怠惰が招くものもあれば、優しさが招いたものもあり、あるいは、いじめられたことに対する怒りに焦点を当てることもあるだろう。
こういった主人公の感情の機微を表現してこそ、起承転結がより盛り上がる。
そういう、感情の機微を表現することに対応するのが、音楽における局所的なダイナミクス。
(と勝手に定義する)
「曲全体のダイナミクスと、局所的なダイナミクス」への1件のフィードバック