曲全体のダイナミクスについて。
物語で言うところの起承転結。
単純に考えると、イントロ~Aメロは弱く弾いて、サビに近づくにつれて強く弾く、というアレンジが考えられる。
でもこのアレンジは、単に強く弾く/弱く弾くというレベルではなく、テクニック=身体の動かし方のレベルで作られている。
Aldrine GuerreroのImagineの構成
イントロ
→Aメロ1→Bメロ1→Aメロ2→Bメロ2→サビ1(*)
→Aメロ3→Bメロ3→サビ2→サビ3(*)
→エンディング
一つ目の盛り上がりは、AメロBメロが2回続いて、サビに至る。
二つ目の盛り上がりは、 AメロBメロにサビが2回続く。
盛り上がりの頂点、(*)印の付いたサビでは無音の溜めが入る(後述)。
各パーツをざっくり紹介すると、
- イントロ
- 静かに始まる
- 4弦あるうち、同時に鳴らす弦の数は1つか2つ。和音(3つ以上の音)は鳴らさない
- Aメロ
- イントロの静けさを引き継ぎ、基本的には1音か2音
- ただし、時々、ダウンストロークを入れて、和音を鳴らす
- Bメロに近づくにつれて、強いストロークになる
- Bメロ
- サビに向けて盛り上がり、挿入するストロークが増える
- またストロークの種類も増えて、普通のダウンストローク、ロール、スクラブ奏法などで味付け
- サビ
- 基本的にストローク。1弦(高音弦)でメロディを奏でる
- なお、(*)印のサビでは、「not the only one」の後で無音の溜めが入る
素晴らしく良くデザインされたアレンジだ。
自分がこのアレンジの強みを知ったのは、人前で演奏したとき。
緊張して演奏すると、「ここは弱く弾かなくちゃ」と頭で覚えている部分があっても、ついつい忘れてしまうもの。
それが、このアレンジは2音か/ストロークかといったレベルでダイナミクスが生み出されるので、身体が覚えてさえすればダイナミクスのある演奏をすることが出来るわけだ。
とは言え、単なる動きのコピーでは表現出来ないダイナミクスもある。
単なるコピーじゃ表現しきれないものの一つに、サビ(*)の無音がある。
ロック曲の間奏等でよく出てくる、突然演奏が止んで無音になる、というアレ。
自分の好きな曲で言えば、goo goo dollsのblack balloonの間奏だ。
この曲に限らず、無音の直前の演奏だけ聴いても、たぶんこの無音の効果は分からない。
Aメロ→Bメロ→サビ→間奏と盛り上がり、突然無音になるからこそ効果がある。
連続的なものが、そこで突然断片的なものになるというギャップが、聴く人をはっとさせる。
つまり、無音を活かすためには、それ以前をいかに連続的に、滑らかに演奏させられるかが大事だ。
そこにはおそらく、局所的なダイナミクスが絡んでくる。
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