「that what friends are for」のモーダルインターチェンジ

CHAGE&ASKA楽曲の分析に必要になりそうなモーダルインターチェンジ。
Burt Bacharach作曲の「that’s what friends are for」を例に教わった。

モーダルインターチェンジ

12個ある音(A, A#, ……, G, G#)のうち、7個の音が組み合わさって、1つのスケールが出来る。
「C, D, E, F, G, A, B」を選べば、C Major Scale、
「C, D, Eb, F, G, Ab, Bb」を選べば、C Minor Scaleだ。
でもよくよく考えると不思議な話で、Cという音を含む7個の音の組み合わせは、全部で462通りも考えられる。
(11個の音から6個の音を順不同で選び出す場合の数、11C6
462個もある可能性のうちたった2つを抜き出して、メジャーマイナーと呼び分けているのだから、よく出来ているというか、よく見つけ出したというか、すごい話だ。

そして、実はメジャーとマイナー以外にも兄弟がいましたよ、というのがスケールのモードの話。
Ionian(=Major)、Dorian、Phrygian、Lydian、Mixolydian、Aeolian(=Minor)、Locrian
この7人はとても相性が良いので、同じ曲の中で時々入れ替わったりするよ、というのがモーダルインターチェンジ(の比喩的な説明になるのかな)。
おそらく経験的な話だと思うのだけれど、これらのモード間での移調は、違和感無しに、曲のメリハリを付けたり、雰囲気が違うなと思わせることが出来るようだ。

そんなことが起こらない曲の方が一般的みたいだけど、Beatles楽曲では頻出のテクニックらしい。
そして、Beatlesの影響下にあるCHAGE&ASKAでも、実際に頻出している。
じゃあモーダルインターチェンジの効果は何か、というのが次節。

「that’s what friends are for」のモーダルインターチェンジ

作曲のBurt Bacharachは「Close to you」等でも有名。
モーダルインターチェンジを効果的に使っている方らしい。

どこ?

モーダルインターチェンジが出てくるのはサビの後半。

[1]サビ前半「Keep smiling, keep shining〜For good times and bad times」は通常のEb Major Scale。
[2]サビ終盤「I’ll be on your side forever more」の二小節でモードがチェンジ。
[3]サビ最後「That’s what friends are for」で元のEb Major Scale。
一番大事な歌詞「ずっとそばにいるよ」がぐぐっと迫って聴こえてくるのは、歌い方の違いだけじゃない。

効果は?

音感ゼロな自分が聴くと、「あ、ここだけ高く歌ってるのかな」等と思う。
でも実際には、音程が特に高くなっているわけじゃない。また、Eb Major Scale内の音からも外れているわけじゃない。
メロディの背景=コードが、ここだけ他とは違うものが使われているのだ。

それによってどんな効果が出るかと言うと、先生曰く、シリアスな含みを持つ和音を背に「ずっとそばにいるよ」というメッセージを発せられる。

ある意味違和感を覚える場所、そこにちゃんと理由があった、ということが面白い。
そして、モーダルインターチェンジを見抜くことは、その楽曲の美味しいポイントを的確に把握できることにつながる。
ウクレレでアレンジを作る際には重要なことだと思う。

詳しく?

「I’ll be on your side forever more」の中身を詳しく分析したいわけだけれど、
正直自分には複雑過ぎてよく分からないので、先生の言っていたことを思い出しつつ、分析手順の備忘録としてまとめる(記述内容の正しさはクエスチョン)。

まず、Eb Major Scaleのダイアトニックコードは以下。

Eb Major EbM7 Fm7 Gm7 AbM7 Bb7 Cm7 Dm7(-5)

[1]サビ前半「Keep smiling, keep shining〜For good times and bad times」
[3]サビ最後「That’s what friends are for」
で使われるコードは全て、上記のダイアトニックコードに含まれるもの。(コード譜は省略)

[2]サビ終盤「I’ll be on your side forever more」では、上記ダイアトニックコードに含まれないコード「Bbm、Eb、B7、C7、BM7」が出現。


Eb

for good times


Eb

and bad times


Bbm

Eb

B7

I'll be

on your

side


C7

BM7

forever

more


モードが変わったに違いない、という仮説を立て、これらのコード「Bbm、Eb、B7、C7、BM7」が、キーEbの各モードのダイアトニックコードに存在しているかどうか確認してみる。
なお、Ionian(=Major)、Aeolian(=Minor)。

Eb Ionian EbM7 Fm7 Gm7 AbM7 Bb7 Cm7 Dm7(-5)
Eb Dorian Ebm7 Fm7 GbM7 Ab7 Bbm7 Cm7(-5) DbM7
Eb Phrygian Ebm7 EM7 Gb7 Abm7 Bbm7(-5) BM7 Dbm7
Eb Lydian EbM7 F7 Gm7 Am7(-5) BbM7 Cm7 Dm7
Eb Mixolydian Eb7 Fm7 Gm7(-5) AbM7 Bbm7 Cm7 DbM7
Eb Aeolian Ebm7 Fm7(-5) GbM7 Abm7 Bbm7 BM7 Db7
Eb Locrian Eb? E? Gbm7(-5) Ab? A? Bb? Caug7

「I’ll be on your side(Bbm→Eb→B7)」は、ごちゃごちゃといろんなモードを渡り歩いているっぽい。ここは複雑なので分析省略。
少なくとも「forever more(C7→BM7)」は、Aeolianモードから出てきたコードであることが分かる。
つまりここでは、Ionian(=Major)からAeolian(=Minor)へモーダルチェンジしているということだ。

「「that what friends are for」のモーダルインターチェンジ」への3件のフィードバック

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