ASKAバラードのメロディのタイム分析(1)

ASKAのメロディのタイム(間の取り方等)がすげえ、ということで、タイム分析。
とりあえずターゲットはアルバム『SCENE』『SCENE II』。
「ターツターーツターーツターー」というパターンを見つけたので、まずはその視点から整理。

ASKAのバラード

ASKAのバラードと一口に言っても、時期によって特徴は全然違うのだろう。
とりあえずまずは、「SAY YES」前後のバラード曲、特にバラードを中心に編まれたソロアルバム『SCENE』(88年)、『SCENE II』(91年)にターゲットを絞る。

『SCENE』シリーズは、映画音楽をイメージして作ったと言われている。
ゆったりとした曲調に、印象的なフレーズが散りばめられた曲が多い。

アルバムの中で印象的だなと思ったフレーズを全て抜き出し、何か傾向が無いか、確認していく。
とりあえず、「ターツターーツターーツターー」というパターンを見つけた。

なお、今回は、ASKA独自かどうかは問わない。
自分が気持ち良いと思うメロディの分析なので。

ターツターーツターー

パターンA

音程はとりあえず気にしない。
「ターツターーツターーツターー」というタイム、こんな間の取り方。

ターツターーツターー_16beat

リズムのパターンと言ってしまえばそれまでだけど、これを倍に引き伸ばした次のタイムも頻出することを考えると、ASKAのこの当時の歌いグセと言っても良いかと思う。

パターンB

パターンAを倍に引き伸ばしたもの。

ターツターーツターー_8beat

Love is alive

岩崎宏美とのデュエット曲。ラブソング。

Cメロ「触れるそばから輝き出す 幼子の顔で」

アルバム『SCENE II』の中でも美しいフレーズの1つ。
最初はパターンA、それから倍に引き伸ばしたパターンBに。
意外にシンプル!

Love is alive_触れるそばから輝き出す

Bメロ「いつも逃げ出さないように歌ってる 心のどこかで 先回りばかりしてる」

ほぼパターンAのみで出来上がっている。

Love is alive_心のどこかで

サビ「感じあえれば近くなる きっとそうだよ」

パターンが少し変化したもの。とりあえずパターンCとして整理しよう。

Love is alive_感じあえれば近くなる

パターンC

「ターツターターターー」というタイム。

paternC_ターツターターターー

けれど空は青

ラブソングが多い本アルバム中では珍しく、男と男の友情を歌った曲。

Aメロ「本当はお前の影が眩しかったよ」

けれど空は青_本当はお前の影が眩しかったよ

出だしの「今でも不思議に夏が」も同じメロディ。
ここでは、「眩しかったよ」も含めて分析したかったので、Aメロの2回り目をピックアップ。

「本当はお前の」をパターンAで歌った後、「影が」で少しモタって、16ビートで「眩しかったよー」と駆け上がる。
パターンAという単調なタイムに対比するように、ダダダッとメロディが動いていくのが面白い。

はじまりはいつも雨

雨男のラブソング。

Aメロ「水のトンネルくぐるみたいで 幸せになる」

はじまりはいつも雨_水のトンネルくぐるみたいで

これは、パターンAと整理してしまうと、ちょっと違うかも知れない。
8ビートの基本のリズムがある中で、ときどき16ビートを混ぜて、グルーヴを作り出している。
そんな中で使われる16ビートの1つとして、パターンAが登場していうる。

Aメロ出だしの「君に合う日は 不思議なくらい 雨が多くて」も、ほぼ同じメロディ。
「君に合う日は 不思議なくらい」はシンプルな8ビート、「雨が」で16ビートが混じってくる。
続くフレーズ「水のトンネル」で、さらに16ビートが混じって、上記のようなメロディになっている。

予感

女性視点の別れのラブソング。

Bメロ〜サビ「噛み締めた唇がとても熱い」

予感_噛み締めた唇がとても熱い

パターンCの後、2/4が一小節だけ追加される。
1/4という拍子は変わらないが、2拍分追加されている。
「Girl」でも同じように、2/4が一小節だけ追加されるところがある。
こういう間の取り方も、1つの特徴のようだ。

伝わりますか

女性視点の別れのラブソング。

サビ「全てを無くす愛なら あなたしかない」

伝わりますか_全てを無くす愛ならあなたしかない

パターンAの変化したもの。パターンDとしよう。
16ビートの混じったパターンDから、8ビート〜4ビートのよりモタっとしたメロディへ。
この緩急の付け方が、印象に残るメロディのポイントっぽいな。

パターンD

「ターツターーター」というタイム。

paternD_ターツターーター

その他

キリが無いので、以下、とりあえず列挙だけ。
なお、アルバムの中からこのパターンを探し出したわけではなく、たまたま心に残ったフレーズを分析したら、このパターンが多かったという次第。

My Mr. Lonly Heart

Bメロ「いつも愛は心貫き」

パターンA。

最後の場面

サビ「あなたの優しい口元 別れを告げようとしている」

パターンA、パターンDなどが登場。

PLEASE

Cメロ「壊れるほど誰かを 抱きしめ続けたいな」

パターンD。

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