歌詞の言葉遣い PRIDE編

歌詞の言葉と、日常の言葉は違う。

他の人が何となしに歌詞に言及するときに、若干言い間違っていたりするのを見て、「この歌詞は独特な言い回しなんだな」と気付くことがある。
もう15年以上聴いている曲だから、言葉遣いの面で違和感を抱くことは無くなってしまったけれど、先生と一緒にPRIDEをアレンジする中で、久しぶりにそんな機会があった。

伝えられないことばかりが 悲しみの顔で駆け抜けてく

サビの冒頭、自分もとても好きな一節。この言葉一つで、その時々で、いろいろな記憶が胸をよぎる。
悔いの残らない別れなんか無いな、と思う。
一緒にいればいるだけ、次のステージが見えてくるのが、理想的な関係。

普通ならここは、「悲しげな顔で」と言う。
「伝えられないこと」が「悲しげな顔」をするだけでも秀逸な比喩だけれど、さらにそれを「悲しみの顔」と言う。

アクセントの問題で、「げ」という濁音を避けたのではないかと思う。
「げ」は強い音なので、そこにアクセントが付いてしまう。
一方で、「げ」が配置されるのは、一拍目の裏の裏(一小節を16等分したときの、4/16拍子目)。
通常の16ビートのドラムパターンでもアクセントは付かない場所だ。(たぶん)
ということで「げ」を避けて、「み」という柔らかい音を選んだのではないか。

もちろん、こんな理屈で歌詞は書かないだろうけれど、ASKAの言葉遣いのセンスを自分なりに分解してみるとこうなる。

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